COURAGE Lab

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資金調達2024/01/26

資金調達を加速する!直接金融と間接金融についてより詳しく解説①

突然ですが、「あなたは今、お金を誰かに貸していますか」という質問をされたら何と答えますか?私は社会人一年生の後輩に対してこんな質問を投げかけることがあります。
「友達にお金を貸しています・・・」とか「個人間のお金の貸し借りは好きでは無いので、私は誰にもお金は貸していません」みたいな回答が大体返ってきます。
しかしそんなプライベートに関わるエピソードが聞きたいのではなく、私が質問した意図はもちろん別のところにあります。 
今回は間接金融と直接金融の違いについて、3回にわけて解説してきます。

間接金融について 

さて直接金融と間接金融の違いを覚えていますでしょうか?おそらく学生時代に政治経済の授業で習ったはずです。丸暗記で何となく覚えているも人もいるでしょう。「間接金融は銀行からお金を借りることです。直接金融は社債や株式を発行してお金を調達することです」という回答が出来れば学生時代のテスト対策ならバッチリです。 

ここではもう少し踏み込んでみましょう。なぜ銀行借入が“間接”金融なのでしょうか?冒頭の質問「あなたは今、お金を誰かに貸していますか」を思い出して下さい。この質問をした意図は間接金融を理解してもらうところにあります。結論から言うとあなたは十中八九、お金を貸しているのです。「いや誰にも貸してませんよ!」という反論に対して私は「銀行の口座持っているよね?君の給料って銀行に入金されるよね?」と追加で質問をします。 

私達が銀行にお金を預けるというのは銀行の立場でみると「私達からお金を借りている」ということになります。だから銀行から利子がもらえるのです。(ゼロ金利過ぎて貰っている印象がほとんど無いのが現実ですが・・・) 

私達が貸したお金が“銀行の判断”で色々な企業に“間接的に”融資されるのです。したがって“間接金融”と言います。ちなみに社会人になったときに給与の振込口座でみずほ銀行が指定された関係でみずほ銀行の口座を私は持っています。みずほ銀行をメインバンクにしているソフトバンク社に対して、私はお金を貸していると言っても過言ではないのです・・・いやさすがにそれは過言ですが大袈裟に解釈した例を示すと頭に残りやすいです。間接金融のイメージが掴めたのではないでしょうか? 

直接金融について 

前章に書きましたが社債発行や株式発行でお金を調達するのが「直接金融」です。これも先ほどの例で簡単に説明できます。今、あなたの手元に100億円あることを想像しましょう。そうです、あなたは大富豪です!この100億円の使い道が直近で思いつかなければ下記のような選択肢が出てきます。

  ①とりあえず銀行に預けておくかな
  ②魅力的なビジネスをしている人(法人を含む)に融資すれば効率的にお金を増やせるぞ 

上記の①の意思決定は間接金融と言えます。②の魅力的なビジネスプランがある人・会社に直接お金を融資する手段が「社債」と「株式」です。具体的には下記みたいな意思決定方法になるでしょう。 

 「株式会社ABC自動車が100億円の社債発行を募集しているぞ。銀行に預けても年利0.01%しかもらえないけど、社債なら年利0.8%もらえるな。銀行預金の80倍お得だぞ」 

この場合は“直接”ABC自動車にお金を融資していますよね。だから「直接金融」なんです。ちなみに年利0.8%なら「8000万円の年間利息」で、年利0.01%なら「100万円の年間利息」になります。 
ちなみに日本経済新聞等を読んでいるとコマーシャルペーパー(CP)という言葉が出てきますがこれも直接金融型の資金調達方法です。これは一部の超優良企業しか発行できないため私を含めて縁のない人が多いかもしれません・・・ 

社債と株式の違いについて 

魅力的なビジネスプランを持っている会社に直接お金を融資する手段に「社債」と「株式」があることを述べました。これは何が違うのでしょうか?結論から言うと社債は前章の例で言うと数年後に融資した100億円が戻ってきます。(返して貰えます)株式は融資した部分のお金は返済されません。 

お金を借りる企業財務部の立場で考えてみましょう。社債は利息を支払って、最終期日に借入元本を弁済する必要があります。要するに貸し手が金融機関(間接金融)、貸し手が金融機関以外の個人・法人(直接金融)というところが違うだけで、銀行借入の仲間と言えるでしょう。 

株式で調達したお金は返済の必要がないことは前述しました。しかしお金が戻ってこなければ誰もお金を融通してくれないですよね。上場会社の場合は株式の権利を証券市場で自由に譲渡することができます。100万円で購入した株式が200万円で売れる可能性もあります。いつでも現金化できます。融資側からみてこの儲けのことを「キャピタルゲイン」と言います。(逆に損失が出たときはキャピタルロスです) 

また企業は頑張って得た利益の中から株主に対してお裾分け(配当金と言います)を払ってくれます。株主から見た儲けをインカムゲインと言います。 
キャピタルゲインやインカムゲイン目当ての人は社債では無く株式に投資するという意思決定を下すでしょう。 

次回展望等 

次回はもう少し踏み込んだ話をしようと思います。「間接金融」と「直接金融」のバランス(直間比率)をどう考えるか等、あなたが企業の財務担当であれば意思決定を求められる場面が出てくると思います。「株式」「社債」「銀行借入」・・・どれが最適な融資手段なのか決めなければいけません。「社債」と「銀行借入」も年利が高い低いだけでは判断が出来ません。 
社債や銀行借入でお金を借りたときの将来の利子負担額について、COURAGEUXのような財務管理システムを導入することで簡単にシミュレーションが行えます。