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資金調達2023/11/09

キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)の特徴と機能についてわかりやすく解説 

キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)は、企業グループ全体の資金を一元管理するためのシステムです。これまでは大手企業の導入が中心でしたが、内部統制の観点から、グループを形成している企業では規模に関わらず導入が進んでいます。 
CMSはプーリング、ネッティング、支払代行などの特徴を備えており、企業が資金を効率的に管理し、リスクを軽減するのに役立ちます。この記事では、CMSの特徴、メリット、デメリットについて詳しく説明し、CMSを導入する際の考慮事項を探求します。 

キャッシュ・マネジメント・システムの主な機能

 1. プーリング機能: 複数の銀行口座や資金を一元化し、効率的に管理するための機能の一つです。プーリングは、企業がグループ内での資金の移動や管理を容易にするために使用され、余剰資金と不足資金のバランスを取るのに役立ちます。余剰資金を他の部門やプロジェクトに振り分けて、最適な利用を実現します。 

 2. ネッティング機能: 取引や支払いの最適化を図り、効率的な資金管理をサポートするための機能です。ネッティングは、複数の取引や支払いを相殺し、処理のコストと手数料を最小限に抑え、資金の運用効率を向上させます。これにより、企業間での支払いや請求のやりとりがスムーズに行われます。また、手数料の削減やリスクの軽減にも役立ちます。 

3.支払代行機能: CMSは、企業が支払いや請求の処理を外部の業者に委託することができます。これにより、企業の時間とリソースを節約することができます。また、正確で迅速な支払い処理が行われ、信頼性や信用力の向上にもつながります。

他にも流動性貸借管理、定期性貸借管理、資金可視化、資金繰り管理、会計記帳などが挙げられ、様々な種類の機能がある。

キャッシュ・マネジメント・システムのメリット

キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)の導入には、以下のようなメリットがあります。 

 1. 資金の効率的な管理: CMSを使用することで、企業は資金の一元管理が可能となります。これにより、資金の配分や投資の最適化が行えます。また、プーリングやネッティング機能により、手数料の削減やリスクの軽減も実現できます。 

2.労力とコストの削減: CMSは、企業が資金管理に費やす時間と労力を削減するのに役立ちます。また、支払代行機能を活用することで、支払いや請求の処理を自動化し、業務の効率化を図ることができます。これにより、人材やコストを節約できます。

3.リスクの軽減: CMSは、資金の一元管理とネッティングの機能により、企業のリスクを軽減するのに役立ちます。例えば、支払いのクロスチェックや不正な支払いの検知などが可能です。また、プーリング機能により、資金の流動性を向上させることができます。

キャッシュ・マネジメント・システムのデメリット

一方で、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)には以下のようなデメリットも存在します。

1.導入コストと人材: CMSの導入には、初期費用や維持費、人材の教育やトレーニングなどが必要です。特に大規模なCMSの導入では、コストや人材の課題が生じる場合があります。

2.セキュリティのリスク: CMSには、企業の資金や取引情報が集約されるため、セキュリティの重要性が高まります。適切なセキュリティ対策が講じられない場合、情報漏洩や不正アクセスのリスクが生じる可能性があります。

キャッシュ・マネジメント・システム導入のタイミング

キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入するタイミングは、企業の状況やニーズによって異なります。以下の事項を考慮して導入のタイミングを検討しましょう。

 1. 資金管理の効率化の必要性: 資金管理に関する課題や問題点がある場合、CMSの導入を検討する価値があります。例えば、銀行口座の数が多くなりすぎて管理が煩雑になっている、資金の配分や投資が十分に最適化されていない、支払いや請求の処理が手作業で行われているなどの場合です。 

 2. 中小企業の場合: 近年では、中小企業向けのクラウド型CMSや簡易システムのCMSが登場しています。これにより、導入コストや人材の負担を軽減することができます。中小企業でも資金管理の効率化を図るために、CMSの導入を検討する価値があります。 

まとめ

キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)は、企業が資金を一元管理するための重要なツールです。プーリング、ネッティング、支払代行などの機能を備えており、資金の効率的な管理とリスクの軽減に役立ちます。導入には初期コストや人材の課題がありますが、中小企業にも適したクラウド型CMSや簡易システムのCMSなど、さまざまなタイプが存在します。企業の状況やニーズに応じて、CMS導入のタイミングを検討し、効果的な資金管理を行いましょう。