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2024.9.26

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資金調達

利上げが与える財務リスクとは?詳しく解説!

利上げが与える財務リスクとは?詳しく解説!

近年、世界各国の中央銀行が金融政策を引き締め、利上げに踏み切る動きが加速しています。これに伴い、企業の財務に影響を与えるリスクも増大しています。利上げは金利の上昇を伴い、企業の借入コストや資金繰りに直接的な影響を与えるため、慎重な対応が求められます。本記事では、利上げが企業財務に与える具体的なリスクを詳しく解説し、その対策についても触れていきます。

 

1. 借入コストの増加

利上げの最も直接的な影響は、企業が負担する借入コストの上昇です。特に変動金利で借入を行っている企業は、利上げに伴い金利の上昇が即座に反映され、利息負担が増加します。

例: A社の場合
A社は、事業拡大のため、1億円を年利1%の変動金利で5年ローンという条件で借入しました。毎月の返済額は、元利均等返済で約170万円です。
しかし、その後、中央銀行が金融引き締めを行い、政策金利が1%上昇したとします。A社の借入金利もそれに伴い2%に上昇した場合、毎月の返済額は約175万円に増加します。年間では約60万円、5年間の返済期間全体では約300万円もの追加負担が発生することになります。

表:金利上昇による返済額の変化

金利

月々の返済額

年間の返済額

5年間の総返済額

1%

約170万円

約2,040万円

約1億224万円

2%

約175万円

約2,100万円

約1億550万円

影響
利益の減少: A社は、年間60万円の追加利息負担により、その分の利益が減少します。
投資の抑制: 追加負担により、新たな設備投資や人材採用などの資金繰りが厳しくなり、事業拡大計画に遅れが生じる可能性があります。
資金繰り悪化: 余裕のない資金計画の場合、利息負担の増加により、運転資金が不足し、資金繰りが悪化する可能性があります。

(1)財務コストの増加
企業が支払う利息は、費用として財務諸表に計上されます。利上げによって借入金の利率が上昇すると、企業の財務コストも増加します。結果として、営業利益が圧迫され、利益率が低下する可能性があります。特に、キャッシュフローが安定していない企業にとって、利息の増加は経営にとって大きな負担となるでしょう。

 (2)長期借入の返済負担
企業が長期的なプロジェクトのために多額の借入をしている場合、利上げに伴う金利負担の増加が長期にわたって財務を圧迫するリスクがあります。金利が上昇すると、将来的な返済計画において負担が増加し、計画的な資金運用が困難になることがあります。

 

2. キャッシュフローへの影響

借入コストの増加は、キャッシュフローにも大きな影響を与えます。企業が利上げによって増加した金利負担を賄うためには、より多くの現金を確保する必要があり、自由に使える資金が減少します。これにより、以下のリスクが考えられます。

(1)運転資金の減少
利上げにより借入金の返済額が増加すると、企業は運転資金の確保が困難になります。通常、企業は運転資金を活用して日々の営業活動を円滑に行いますが、利息の増加によってキャッシュフローが減少すると、仕入れや従業員の給与支払いなどの資金繰りが悪化する可能性があります。

(2)投資活動の制約
キャッシュフローが減少すると、新規投資や成長のためのプロジェクトに対する資金投入が難しくなります。利上げに伴い、企業はリスクの高い投資を控え、安全志向に転じることが多いため、成長機会を逃すリスクが高まります。特に、景気の減速局面で利上げが実施される場合、投資活動が停滞することが懸念されます。

 

3. 金利変動リスク

利上げは、変動金利で借入を行っている企業にとって大きなリスクをもたらします。変動金利は市場の金利に連動して変動するため、利上げ時には返済額が増加します。一方、固定金利を選択している企業は利上げの影響を受けにくいものの、将来的にさらに金利が上昇するリスクを抱える可能性があります。

(1)変動金利のリスク
変動金利での借入を行っている企業は、金利上昇時に利息支払いが増加するリスクがあります。特に、急激な利上げが行われた場合、予期せぬコスト負担が発生し、資金計画の見直しが必要になるでしょう。これに対して、金利リスクヘッジの手段として、金利スワップを活用することが考えられます。

(2)固定金利と変動金利の選択
利上げが予想される局面では、固定金利での借入が有利とされることが多いです。固定金利にすることで、将来的な金利上昇リスクを回避できます。ただし、固定金利は通常、変動金利よりも高めに設定されるため、短期的なコスト負担が増えることも考慮する必要があります。

 

4. 外部調達環境の変化

利上げは企業の内部だけでなく、外部の資金調達環境にも影響を及ぼします。金融機関は利上げに伴い、貸し出し条件を厳しくすることが多く、企業が新規に資金調達を行う際のハードルが上がる可能性があります。また、投資家も利回りの高い投資先を求める傾向が強まり、資金調達が困難になるリスクもあります。

(1)銀行からの借入条件の厳格化
利上げに伴い、銀行などの金融機関が貸し出し金利を引き上げることで、企業にとって借入の条件が悪化します。これにより、資金調達コストが増加し、新規事業や運転資金の確保が難しくなる可能性があります。

(2)社債市場への影響
利上げは社債市場にも影響を与えます。利回りの上昇に伴い、企業が社債を発行する際により高い金利で資金を調達する必要があります。これにより、企業の資金調達コストが増加し、財務戦略に対する負担が大きくなります。

 

5. 利上げに対する対応策

企業が利上げリスクに備えるためには、以下のような対策が有効です。

(1)金利リスクの分散
企業は、変動金利と固定金利のバランスを考慮した借入戦略を立てることが重要です。金利が上昇するリスクを見据えて、金利ヘッジ手段を活用することで、財務リスクを軽減できます。

(2)資金繰りの見直し
利上げに備え、キャッシュフローを見直し、資金繰りを改善するための施策を講じることが大切です。過剰な借入金に依存しない財務構造を築き、短期的な資金ニーズに柔軟に対応できる体制を整えることが求められます。

 

まとめ

利上げは、企業の財務に多大な影響を与えるリスク要因です。借入コストの増加やキャッシュフローの悪化、金利変動リスク、外部調達環境の変化など、企業は多面的なリスクに直面します。これらのリスクを軽減するためには、金利リスクの分散や資金繰りの見直しなど、適切な対策を講じることが重要です。企業は経済情勢を注視しながら、財務戦略を柔軟に見直すことで、利上げリスクに対する防御策を強化することが求められます。


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