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Courage Lab
2023.7.27
COURAGEUX
短期借入金の一種、当座貸越の特徴についてわかりやすく解説

企業が銀行から資金調達する際に短期借入金と長期借入金という2つの選択肢があります。ここでは短期借入金の融資形態の一つである当座貸越の詳細を説明します。実務上では通称:当貸(とうがし)と略されることも多いです。短期借入金と長期借入金の違いについては、下記の記事を読んでみることをお薦めします。
短期借入金で一般的に使われる契約形態とは?
短期借入金では一般的に「手形貸付」と「当座貸越」という2つの融資形態で貸付が行われることがほとんどです。この2つの違いをしっかり押さえて、自社の財務戦略にマッチするように使い分けることが重要です。ここでは当座貸越を主人公に話を展開したいと思います。借り手視点で「当座借越(とうざかりこし)」と呼ぶこともありますが銀行側(貸し手側)の表現をそのまま拝借して借り手側でも当座貸越と実務上では呼ぶことが多いです。当座貸越も当座借越も意味は同じです。
当座貸越とは?
企業が銀行から融資を受ける場合、様々な視点から審査を求められてその審査をクリアして初めてお金を借りることができるます。「3日後に至急でお金を借りたい」そんな都合のよい企業の要望に応えるサービスがあれば助かりますよね?
それが「当座貸越」です。銀行との間で取り決めた極度枠の範囲であれば自由に借入をすることが出来ます。10億円の極度枠に対して、2億円既に借りている場合は残り枠の8億円の追加融資をすぐに受けれます。短期の急な資金需要に柔軟に対応してくれる超便利な融資形態が当座貸越です。
当座貸越には大きく分けると2つのサービスがあり、1つは預金残高を超える支払決済があったときに口座残高のマイナスを防ぐ自動借入サービス、もう1つは前出の極度枠の中で自由に融資を受けられるサービスです。一般的には後者の極度枠内での借入サービスを示すことが圧倒的に多いです。
継続的に一定金額の融資を受け続ける場合は、手形貸付のように毎回、手形の振出等の面倒な手続きを回避できるのも当座貸越のメリットです。こうしたメリットから、当座貸越枠を十分に設けている場合は手形貸付を使っていないという企業も多いです。
信用力について
「借りたい時に好きな金額の融資を受けられるのが当座貸越!」と都合の良い部分ばかりをピックアップしてしまいましたが、実際にはそんなことはありません。
企業の信用力に応じてこの極度枠は様々で、必ずしも理想の枠を貰えるわけではありません。1000万円の企業もあれば、100億円の企業もあり様々です。この信用力という概念は色々な切り口から判断される、財務の世界ではとても奥が深いものです。財務情報(売上規模、財務安定性、経営成績)や事業の将来性などの企業の持っている資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を総合的に分析して、初めて信用力が導き出されます。
また当座貸越を使用する際は当座預金口座を開設する必要があります。この当座預金口座も一定の信用力が無いとそもそも開設すらできません。使用するまでのハードルがそれなりに高いサービスと言えるでしょう。資金需要に柔軟に対応してくれるのは間違いないですが、与えられた極度枠内でやりくりすることが大切です。
コミットメントラインとの違いとは?
同じく極度枠内で自由に借入ができるサービスにコミットメントラインがあります。当貸に非常によく似たサービスと言えますが微妙に異なります。コミットメントラインは未使用の枠に対して利息とは別で手数料が掛かります。これも信用力に応じて極度枠が設けられる点は同じです。銀行から見ると融資を行っていない状態でも手数料収入を得ることができ、企業から見ると当座貸越よりも大きな金額の急な資金需要に対応できるWin-Winなサービスと言えます。
ここでもメリット面を強調しましたが当面資金需要がなければ、わざわざ無駄な手数料を払う必要はありません。安易に銀行の提案通りにコミットメントラインの締結をするのはコスト面からデメリットが生じる場合もありますので注意しましょう。
当座貸越のように極度枠に対して手数料が掛からないものを区別して「アンコミットメントライン(略してアンコミ)」と呼ぶこともあります。
当座貸越時に求められる財務管理について
手形貸付にて融資を受ける場合に実務上、下記のような管理が必要になります。
①手形貸付、当座貸越、証書貸付の融資形態区分の管理ができる
②緊急融資の増額管理がカンタンにできる
③管理した数値を財務会計へ仕訳連携できる
④極度枠の管理ができる
上記の特徴を取りそろえているCOURAGEUXなどの借入金管理システムを導入して、緊急の資金需要の借入を迅速かつ正確に管理しましょう。