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2025.11.27

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資金調達

資本性劣後ローンとは?借入金との違いとメリット・デメリットをわかりやすく解説

資本性劣後ローンとは?借入金との違いとメリット・デメリットをわかりやすく解説

企業が成長投資や事業拡大を進める際、自己資本比率と借入金のバランスは重要な指標となります。設備投資やM&A、DX投資などを計画しているものの、借入金が増えすぎると金融機関の評価が下がり、追加融資が受けづらくなるケースも少なくありません。
そんな状況で注目されているのが、借入金でありながら自己資本に近い評価が得られる「資本性劣後ローン」です。近年は政策金融機関や地域金融機関を中心に活用が広がっており、財務改善の手段として注目されています。

資本性劣後ローンとは何か

資本性劣後ローンとは、返済順位が一般的な借入金より“劣後する”ローンのことです。
企業が万が一破綻した場合、金融機関は他の債権者より後に返済を受けるため、リスクの高い金融商品として位置付けられています。

この特徴により、金融機関が査定を行う際、一定の条件を満たせば『自己資本』とみなして資産査定を行ってくれるという運用が行われています。
2019年に廃止された金融検査マニュアルを引き継いだ形で実務上の運用では、以下の条件を満たすことで、銀行内部の審査データ上、借金が「資本」に書き換わり、企業の信用力が劇的に回復する仕組みになっています。

  • 5年超の期限一括返済であること。
  • 業績連動金利であること。
  • 法的劣後性があること。

貸借対照表では借入金であるにもかかわらず、銀行の格付上では“資本に近い性質”を認められる点が最大のポイントです。

通常の借入金との大きな違い

1. 返済順位が低い

返済順位が低いことで、銀行は資本性を評価します。企業にとっては財務指標の改善につながります。

2. 元本返済が当面不要

多くが期限一括返済型で、期間中に元本返済は発生しません。キャッシュフローの安定化につながり、投資や運転資金に余力を回すことができます。

3. 契約期間が長い

5〜20年程度の長期契約が一般的で、中期的な事業成長の時間を確保できます。

4. 金利が業績連動

通常より高めの金利上限が設定されますが、業績が良ければ高く、悪ければ低くなるなど、企業の業績状況に応じて変動します。

資本性劣後ローンのメリット

1. 自己資本比率が改善する
決算書上は『負債』ですが、銀行内部の評価では『自己資本』とみなされるため、実質的な自己資本比率が向上し、格付ランクアップや金利低下に繋がる可能性があります。

2. 借入金依存度を抑えながら調達できる

通常の借入金を増やすと負債比率が悪化しますが、資本性借入金なら財務バランスを崩さずに資金調達ができます。

3. キャッシュフローが安定する

元本返済がないため、手元資金の流出が抑えられます。
設備投資やDX、人材投資など、前向きな投資を優先できます。

4. 銀行との関係が強化される

金融機関は企業の将来性を信じて資本性劣後ローンを提供するため、中長期的なパートナーシップにつながりやすい特徴があります。

資本性劣後ローンのデメリット

1. 金利が高めに設定される

金融機関は返済順位が低いリスクを負うため、通常の借入金より金利が高めになります。
業績によって上下するため、金利負担の試算が重要です。

2. 契約条件が複雑な場合がある

配当制限や財務制限条項が付くことがあり、経営判断に影響する場合があります。

3. 他行との調整が必要になる

資本性劣後ローンを導入することで、他の金融機関との関係や融資姿勢に変化が生じることがあります。
既存借入金との整合性を取ることが重要です。

COURAGEUXでの管理が有効

資本性劣後ローンは、金利ステップや契約条件が複雑になるケースが多く、Excelでの管理には限界があります。
COURAGEUXを活用すると、資本性借入金を含む全ての借入金を一元管理でき、契約条件・金利・財務指標への影響を自動で可視化できます。

財務部門が行いたい
・財務指標の影響分析
・銀行交渉資料の作成
などを効率化でき、戦略的な資金調達を実現しやすくなります。

まとめ

資本性劣後ローンは、借入金でありながら資本として扱われるユニークな金融商品です。
自己資本比率の改善、キャッシュフローの安定化、追加融資の受けやすさなど、多くのメリットがあります。一方で金利負担や契約条件の複雑さといったデメリットも存在するため、正しく理解したうえで導入することが重要です。

成長投資を進めたい企業、財務体質を見直したい企業にとって、資本性劣後ローンは有力な選択肢となります。
財務戦略の一部として組み込むことで、企業の持続的成長を支える強固な資金基盤を構築できるでしょう。


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