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2025.4.28

資金調達

表面金利と実質金利の違いとは?資金調達・借入時に押さえるべき金利の本質

表面金利と実質金利の違いとは?資金調達・借入時に押さえるべき金利の本質

企業が銀行借入や社債発行などで資金調達を行う際、「金利」は最も重要な評価指標のひとつです。しかし、提示されている金利が本当に企業にとって有利かどうかを判断するためには、「表面金利」と「実質金利」の違いを理解しておく必要があります。 

見かけの利率だけを鵜呑みにして契約してしまうと、思わぬコスト増に繋がるケースも少なくありません。本記事では、法人の資金調達担当者が知っておくべき金利の基本知識として、表面金利と実質金利の違いとその活用ポイントを解説します。 
 
※本記事の実質金利はAPR(Annual Percentage Rate)の意味です。RIR(Real Interest Rate:表面金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利)ではございません。 

表面金利とは?──借入条件の「見かけ上の金利」 

表面金利(名目金利)とは、金融機関が提示する借入元本に対して適用される利率のことです。たとえば、年利2.0%のローンで1000万円を借りる場合、1年間の利息は単純計算で20万円になります。 

この金利は元本に対する計算上の利息のみを表しており、以下のような特徴があります。 

  • 金融機関の広告や契約書に明示される 
  • 利息計算のベースになる 
  • 手数料や諸経費は含まれない 

つまり、表面金利はあくまでも「見かけの金利」であり、借入に伴う実際の費用負担を完全には反映していない点に注意が必要です。 

実質金利とは?──資金調達の「真のコスト」 

実質金利とは、表面金利に加え、契約手数料や保証料、印紙代、返済方法(元利均等など)などをすべて含めて計算された、実際の金利負担のことです。 

たとえば、以下のようなコストが実質金利の計算に含まれます。 

  • 契約事務手数料 
  • 保証料・担保評価費用 
  • 印紙税 
  • 繰上返済手数料 
  • 元利均等返済による利息支払の変化 

これらを加味して年率ベースで算出される金利は、「APR(Annual Percentage Rate)」とも呼ばれます。企業の借入時には、実際にいくらのコストを支払うことになるのかを判断するために、この実質金利を基準にすることが不可欠です。 

表面金利と実質金利の違い

項目 表面金利 実質金利 
含まれる要素 利息のみ 利息+手数料+その他諸経費 
表示場所 広告・契約書に明示 詳細は契約書類や説明資料に記載されることが多い 
利用目的 初期的な比較用 実質的な返済コストの比較 
注意点 実際の支払総額とは異なる場合がある より現実的な負担額を反映する 

なぜ企業は実質金利に注目すべきか? 

企業の資金調達では、利率1%の差が年間数十万~数百万円の差に直結することもあります。そのため、借入の評価においては、表面金利ではなく「実質金利ベースでの比較」が必要不可欠です。 

実質金利を確認しないと起こりうるリスク: 

  • 表面上は低金利でも、手数料で実際のコストが高くなる 
  • 他行との金利比較が正確に行えない 
  • 財務計画にずれが生じ、資金繰りに悪影響を与える 

例えば、A銀行が年利1.8%、B銀行が年利2.0%で融資を提案していたとしても、A銀行には高額な保証料や手数料が上乗せされる場合、実質的にはB銀行のほうが低コストになるケースも珍しくありません。 

オールインコストとの違いは? 

実質金利に関連する指標として、企業の大規模資金調達では「オールインコスト(All-in Cost)」という考え方も使われます。これは、表面金利だけでなく、アレンジメントフィーやアップフロントフィーなどを含む、調達全体の総コストを年率換算したものです。 

実質金利は主に中小規模の融資に対して、オールインコストは社債やシンジケートローンなど、より複雑な資金調達で使用される指標といえます。 

オールインコストについては以下記事もご参照ください。 

実務での活用ポイント 

1. 見積時には必ず「総支払額」を確認 

契約前に「実質金利はいくらか」「返済総額はいくらになるか」を確認することが大切です。 

2. 金利比較は実質ベースで行う 

複数の金融機関から融資提案を受ける場合は、「実質金利ベース」「総費用ベース」で比較しましょう。 

3. 借入管理システムを活用する 

借入管理クラウドなどのツールを活用すれば、複数借入の金利負担を一元管理しやすくなります。たとえば「COURAGEUX」のようなサービスで実質金利の可視化も可能です。 

まとめ 

企業にとって資金調達コストの最適化は、利益改善やキャッシュフロー改善に直結する重要な業務です。「表面金利」だけで判断するのではなく、「実質金利」や「オールインコスト」といった“真のコスト”をもとに戦略的に判断することが、経営の質を高める第一歩です。 


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