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2026.1.29
COURAGEUX
EBITDA有利子負債倍率とは?財務担当者が「まず見るべき」理由と実務での使い方

財務担当者であれば、「自社の借入水準は適正なのか」「将来的な返済余力に問題はないのか」という問いに、迅速かつ合理的に答える必要があります。
その際、近年とくに重要視されている指標がEBITDA有利子負債倍率です。
銀行との対話や社内の経営報告において、「まずこの数字を見ている」と言われることも少なくありません。本記事では、EBITDA有利子負債倍率の基本から、なぜ財務担当者が最初に確認すべきなのか、そして実務での具体的な使い方までを解説します。
EBITDA有利子負債倍率とは何か
EBITDA有利子負債倍率とは、有利子負債がEBITDAの何倍あるかを示す指標です。
計算式は以下の通りです。
EBITDA有利子負債倍率 = 有利子負債 ÷ EBITDA
ここでいうEBITDAとは、営業利益に減価償却費(場合によってはのれん償却費など)を加えたもので、企業が本業で生み出すキャッシュ創出力を表します。
この倍率は、「現在の有利子負債を、EBITDAベースで何年分で返済できる水準か」を示すものであり、返済力を直感的に把握できる点が特徴です。
分子が「ネット有利子負債」になるケースもある
実務上、EBITDA有利子負債倍率の分子は、有利子負債ではなく「ネット有利子負債」を用いるケースも少なくありません。
ネット有利子負債とは、有利子負債 - 現金および現金同等物で算出される、実質的な負債規模を示す指標です。この場合、倍率は以下の形で算出されます。
ネット有利子負債 ÷ EBITDA
手元流動性を厚く確保している企業や、グループ内で資金プールを行っている企業、M&Aや大型投資に備えて一時的に現金を多く保有している企業では、ネット有利子負債ベースで評価されることがあります。
金融機関や投資家の視点では、「理論上、現金でどこまで返済に充てられるか」という観点も重要になるため、形式的な借入残高ではなく、ネット有利子負債を用いた倍率が確認される場面も増えています。
EBITDA有利子負債倍率とネット有利子負債EBITDA倍率の違い
2つの指標は分子の考え方が異なるため、評価の視点も変わります。
違いを簡単に整理すると、以下の通りです。
| 項目 | EBITDA有利子負債倍率 | ネット有利子負債EBITDA倍率 |
| 分子 | 有利子負債 | ネット有利子負債(有利子負債-現金・現金同等物) |
| 分母 | EBITDA | EBITDA |
| 評価の視点 | 借入金そのものの重さ | 実質的な返済余力 |
| 現金保有の影響 | 考慮されない | 考慮される |
| 向いている場面 | 保守的な財務評価、借入水準の確認 | 資金余力を含めた評価、投資判断 |
| 注意点 | 現金が多くても倍率は下がらない | 現金一時増加で良く見えすぎる場合がある |
EBITDA有利子負債倍率は、借入金の総量に対する厳しめの評価ができる一方、
ネット有利子負債EBITDA倍率は、現金を含めた実質的な返済余力を見る指標と言えます。
どちらか一方だけを見るのではなく、両方を把握し、場面に応じて使い分けることが重要です。
なぜ財務担当者は「まず見るべき」なのか
EBITDA有利子負債倍率が重視される最大の理由は、キャッシュフローに近い視点で返済余力を評価できる点にあります。「元本まで含めた借入全体の重さ」を直感的に把握するには、EBITDA有利子負債倍率が最も分かりやすい指標です。
新規借入や借換え、金融機関との定期的な財務ヒアリング、中期経営計画や投資判断、M&Aや大型設備投資の検討など、多くの場面で最初に確認されます。
何倍が目安とされるのか
一般的には、EBITDA有利子負債倍率は3倍以下であれば比較的健全、3〜5倍は業種や成長性次第、5倍を超えると財務リスクを意識されやすい水準とされます。
ただし、これはあくまで一般論です。安定したキャッシュフローを持つ業種では、より高い倍率が許容されるケースもあります。
重要なのは、数値そのものよりも、「なぜこの水準なのか」「将来どう推移するのか」を説明できることです。
実務での使い方:将来シミュレーション
EBITDA有利子負債倍率は、将来シミュレーションとの相性が非常に高い指標です。
新規借入を行った場合に倍率がどう変わるのか、EBITDAが成長した場合に何年で健全水準に戻るのか、金利上昇や収益悪化時にどこまで耐えられるのか。
こうしたシナリオを数値で示すことで、経営層や金融機関との議論が具体的になります。
EBITDA有利子負債倍率が低くても、金利が急上昇すれば支払利息の負担は重くなります。そのため、銀行は借入の「量」を見るこの倍率と同時に、利息の「支払い能力」を見る「インタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)」をセットで確認しています。財務担当者は、この2つの指標を車の両輪として管理することが重要です。
まとめ
EBITDA有利子負債倍率は、「借入が重すぎないか」「返済余力は十分か」を一瞬で示す、極めて実務的な指標です。
有利子負債ベースとネット有利子負債ベースの違いを理解し、
経営判断や金融機関対応、将来シミュレーションにどう活かすか。
その視点を持つことが、財務担当者にとって大きな価値になります。

