財務部門が行うべき借入金のデュレーション管理をわかりやすく解説

借入金のデュレーションとは？

「デュレーション」は、日本語では「継続時間」や「持続時間」といった言葉に訳されることが多いです。デュレーション自体は様々な場面で使われる言葉です。ちょっと難しそうに聞こえますよね。でも、ご安心ください。実は、身近なもので例えると、とてもわかりやすい概念なんです。

例えば、マラソンに例えると

　● デュレーションが長い：マラソンの距離が長い。完走までの時間が長い
　● デュレーションが短い：マラソンの距離が短い。完走までの時間が短い

といったようにデュレーションは「ある期間」を表す言葉です。
ちなみに、私にとって42.195kmのマラソンはデュレーションが長いです。

 

 また、デュレーションは、金融用語としても使われます。
金融用語としてのデュレーションは、「金利変動による債券価格の感応度を示す指標」といった意味でも使われますが、企業の借入金にも応用することができます。借入金の場合のデュレーションは「借入金をすべて返済し終わるまでの平均的な期間」として、借入金のリスク管理に使われます。
例えば、完済まで残り１年間の借入より完済まで残り１０年間の借入の方が、デュレーションが長くなります。

仮に、現時点で借入金の金利が1%上昇した場合、残りの借入期間が長いほど、上昇した金利で利息を払い続ける可能性があるため、デュレーションが長いほど、リスクも大きくなります。
また、金利に変更が無かったとしても、借入金の返済を継続する必要があるため、デュレーションが長いほど経営状況を維持し続ける必要があります。

このように、一般的にはデュレーションが長いほどリスクも増加します。

ただし、企業にとって長期的な視点で資金調達することは非常に重要であるため、企業のリスクに対する許容度や、資金調達の目的に合わせて、時にはデュレーションを調整することも必要です。
例えば、毎月同じ金額を返済していくか、それとも最初に大きな金額を返済し、徐々に減らしていくかなど、返済方法によってもデュレーションは変わってきます。

借入金のデュレーションを管理するメリット

借入金のデュレーションを管理することには、企業にとって多くのメリットがあります。
以下にいくつかのポイントを挙げます。

・リスクが可視化できる

あなたが、「金利が上昇する傾向にありそうだ」というニュースを目にしたとします。
　
自分の企業では複数の金融機関から借入をしている場合、どの金融機関が自社にとって、一番金利上昇の影響を受けそうかすぐに答えられますか？そんな時に借入金の残存期間を数値化しデュレーションとして管理することで、どの金融機関が影響を受けやすいか可視化することができます。

例えば、金融機関ごとに残りの平均借入日数を算出し、365で割ることで、借入金の平均残存年数を算出することができます。

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このような金融機関ごとのデュレーションを管理しておくことで、今、金利上昇の局面にあるとき、自社にとって最も影響を受けやすいのは、A銀行の借入であることが、すぐに判断できるようになります。

 ・コスト管理の最適化: 借入金のデュレーションを管理することで、企業は借入コストを最適化できます。
　金利が低い時期に借入を行うことで、総返済額を抑えることができます。これにより、企業の財務負担が軽減され、資金繰りが安定します。

・リスク管理の強化: 金利の変動は企業の財務状況に大きな影響を与えるためデュレーションを管理することでリスクを軽減できます。特に、金利が上昇する局面では、固定金利の借入を増やすことでリスクを分散させることができます。

・財務計画の精度向上: 借入金のデュレーションを把握することで、将来の利息支払い額を正確に予測できます。これにより、財務計画の精度が向上し、予算編成や資金調達戦略の策定が容易になります。

デュレーション管理の注意点 

デュレーションはあくまで一つの指標: デュレーションは金利変動リスクを示す重要な指標ですが、企業の財務状況を評価する際には、他の指標も総合的に考慮する必要があります。

デュレーションは常に変化する: 企業の借入金の組成や市場金利の変化によって、デュレーションは常に変動します。そのため、定期的にデュレーションを計測し、必要に応じて見直す必要があります。

複雑な金融商品の場合: デュレーションの計算が複雑になる金融商品も存在します。専門家のアドバイスを受けることが重要です。

 

まとめ

「デュレーション」と聞くと一見難しそうですが、「借入金を全て返済し終わるまでの平均的な時間」という、とてもシンプルな概念です。この概念を理解し、デュレーションを適切に管理することで、企業はより安定的な経営を実現することができます。

 

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