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Courage Lab
2023.4.28
IPO
有価証券報告書
IPO・上場準備でやるべき財務管理とは?3つのポイントに絞ってわかりやすく解説

あなたの勤めている会社は上場されてますでしょうか?上場企業以外にお勤めの方もたくさんいらっしゃると思います。ただそのような非上場企業にお勤めの方も、会社が劇的な急成長を遂げてIPO(新規上場)を検討するかもしれません。財務担当の立場から見た場合に知っておきたい知識をまとめてみました。具体的には経理部門というステークホルダーを意識した業務が必要になります。なぜ経理部門がそのような情報を求めているか、IPO前から勉強しておきましょう。
IPOによって仕事がどのように変わるか?
株式公開されて上場企業になった時に一番大きく変わるのが四半期決算だと思います。上場企業だと3ヶ月ごとに決算があるのです。第3四半期まで「四半期報告書」を作成して、決算時に有価証券報告書という文書を作成する義務があります。有価証券報告書は「ゆうほう」等と略して呼ばれることが多いです。
この有価証券報告書の中には貸借対照表や損益計算書等の決算書情報もあります。財務部門で管理するような借入金等の財務情報も最終的には決算書に反映しなければなりません。この作成タイミングを早期化しなくてはいけません。
株式を公開するということは今まで顔を見たことのない第三者が自社の株主になる可能性があるということです。そのような人たちが株式を買うときに、その企業についての情報が公開されていないと意思決定のしようがないですよね。しかも企業を取り巻く環境変化のスピードはとてつもなく速くなっています。したがって上場企業は投資家等のステークホルダー向けに早期に決算情報を開示することが社会的使命として求められるのです。
この上場企業の姿勢を表現する言葉としてディスクロージャー(情報開示)という表現があります。
トヨタ自動車、任天堂、ファーストリテイリングといった日本を代表する超有名企業も上場しているのでインターネットで検索すれば簡単に有価証券報告書を見れます。金融庁の運営するEDINETというサイトでも簡単に検索ができます。URLにdisclosure(ディスクロージャー)と入っています。
逆にサントリー、ロッテ、佐川急便は日本を代表する大企業と言えますが、これらの企業が戦略的に非上場としているのも面白いところです。
◆EDINET(エディネット)URL
https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/WEEK0010.aspx
ただし四半期報告書を無くし決算の簡易速報版の決算短信に一本化しようという議論も実際にはあります。私も四半期決算の重要性を説きつつ、実は決算短信以外見ていなかったりします・・・
財務担当者が注目する有価証券報告書の3つのポイントは?
財務担当者としてIPOを成し遂げた場合にどういったポイントに着目して業務に取り組めばよいかを下記にまとめています。
①正確な仕訳データの提供とそのスピード性
前述した通り財務部門で管理するような借入金情報も最終的に決算書に載ります。 正確な仕訳データを四半期開示のスピードにあわせて提供しないといけません。 正確性のためには内部統制がしっかりした管理をしていないと信憑性が担保されません。
エクセル管理を行っているような場合はとても注意が必要です。
公認会計士が監査を行う場合に指摘事項が発生しないような管理をしましょう。
②金融商品時価開示への対応
有価証券報告書をご覧頂くとわかるのですが、借入金の情報に限りませんが金融商品の時価が記載されています。 この時価算出も大きなポイントです。
上場済の企業でも、エクセル管理で一部の社員しか計算根拠を説明できないような属人化されているケースが見受けられます。
③平均レート等の有価証券報告書へ記載する情報
有価証券報告書には決算書以外にも様々な情報が載っています。
財務情報としては平均レート等の情報があります。
IPOを実現した場合に求められる財務情報の管理について
IPOを実現した場合には下記のような情報を迅速かつ正確に情報を提供できないといけません。
①会計システムへ計上する仕訳情報(未払/前払利息の算定等)
②金融商品時価開示で使用する時価情報
③平均レート等の注記情報
上記の特長を取りそろえているCOURAGEUXなどの財務管理システムを導入すると、こういった属人的な業務から解放されて早期に決算書類が作成できます。